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長屋を改修する
2017.06.08更新 / 今日のすま研
大阪のある町に建つ築75年の長屋。
広さは延床面積が約70㎡。
これを夫婦と子供一人の3人が暮らすすまいに改修する計画であります。
長屋というのは隣戸と壁を共有している建物のことで連ねる戸数によって
2戸1だとか3戸1などと呼びます。
この場合、注意すべきは建物の構造と融資のこと。
2戸1だったら2戸でひとつの建物ということです。
雨の日も風の日も支え合ってきたのです。
もし切り離すならその点もしっかり考えないといけません。
もうひとつはローンを組む場合の担保価値としてどうかという話。
敷地が一つの場合、つまり、長屋全体がひとつの土地の上に立っている場合ですが、
これは担保価値がないということになります。
そして、切り離しの同意書なるものが必要です。
長屋の法的な分類は区分所有の建物。
ということは区分所有法が適用されることになり、切り離しには
全戸の4分の3以上と隣戸の同意が必要ということになります。
法律的に解釈とは別に、切り離したことに対する建物全体への影響は
考えておかないといけません。
同意を求めるにあたっては、切り離したあとの壁や屋根にきっちり
雨仕舞をする、などの条件が必要になるでしょう。
その他切り離したことで生じる不具合には対応しないといけないので、
それ相応の金銭的負担が発生する可能性があるということになります。
そういったリスクがあるために、所得コストは安いということになります。
他にも建物のメンテナンスや接道に関することで長屋ならではのリスクがあります。
長屋リノベーションを考えている方は、そのあたりご注意を。
さて、当計画はというと、まだまだ始まったばかりで落ち着くところ未だ定まらず。
でも紆余曲折ってのは通過儀礼的なもので、色々と試行錯誤するうち
だんだん振れ幅が小さくなって最後にクライアントにぴたりとくるところに落ち着くと。
そんな全体の道筋をイメージしながらまずい誘導をしないように船頭を務めるのが
わたくしの役目なのです。
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