読みもの
路上観察
好みを説明してみる
設計していると「好み」は放っておいても随所に顔を出すものだから、
むしろ意識的に出さないようにするくらいが丁度いいんじゃないかと思っています。
出さないようにしてもおいても顔を出してくるものだからこそ、その部分に責任を待たないといけないし、すま研ではこんなものが顔を出しますよということをクライアントに説明できないとフェアじゃないような気がします。
とはいうものの、自分がいいと思うものの基準はぼんやりしたものです。
だから自分がどんなものに惹かれるのか、まちを歩くときはあたりを見回します。
いいも悪いもそう思うわけを探ります。
例えばばこんな具合。
大きく枝を伸ばした迫力のある木にはっとして立ち止まります。
粗野な感じに育った草木のちょっと奥に、低く抑えた軒先が横に延びるのが見えます。圧迫感がなく見ていて落ち着きます。前を通る人へのやさしさにさえ感じます。使っている素材はなんの変哲もない波形のトタン。それだけで見たら選ばないかもしれない色。ポストの配置が印象的なこじんまりとした木戸。わざとらしさやこれみよがしな感じは一切ないのにどことなく味がある。その在り方。いいですねー。などと思いながらパシャッとやります。
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