読みもの
奈良 吉野山の古民家改修
2022.05.26更新 / 今日のすま研
古民家改修のための現地調査。
茅葺屋根を覆った鉄板、所々にはめられたアルミサッシ、ラスモルタルの壁の浴室、土壁の上に張られたプリント合板。
築100年を超すこの建物は長い年月の間少しづつ姿を変えながら今に至っている。
調査は建物の図面が書けるように寸法を測り、柱や梁などの構造体の状態、床下の状態、小屋裏の状態、給水や排水などの設備の状況を確認する。
計画を立てるにあたって建物の現状を把握するためだ。
小屋裏は広く、屋根に葺かれた萱のストックか、萱が大量に置いてある。
そこで柱に結び付けられていた木札には天保十四年の文字があった。
天保と言えば江戸時代、今から約180年程前ということになる。
ペリーがやってくる10年程前だ。
天保から伝わる札を建築時につけたのか、それとも建築された時のものなのか。
建物の外と内だけでなく、建物の周辺もよく見る。
縁側の先には段差があり、雰囲気のいい石積みになっている。
縁側から、雨が当たる地面に近い壁面に木の板が張られた蔵がみえる。
その向こうの木々越しは本瓦葺きで、煙抜きを載せた趣のある屋根が見える。
そういったことも含めて気付いたことを材料として集めていく。
建物のことと同じくらい、関わる人たちの話も重要だ。
建築にはそこを使う人たちがいる。クライアントには事前にヒアリングをしているが、現場で話をするとより具体的に聞くことができるし、
聞いていたことの理解も深まる。
また、今回は所有者さんのお話も聞くことが出来た。
長年住み継いできた建物のことを心配する所有者さんの気持ちをよく知っておかないといけない。
改修設計の内容は大きく分けて耐震補強、空間づくり、設備、温熱環境がある。
案件によって優先順位は変わるが、どんな計画になっても使える材料をできるだけ多く集めておく。
住み手が楽しみながら考えて作る。
そういう暮らしを作るお手伝いが出来ればこんなにうれしいことはない。
- 前のページ
- 次のページ