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安藤忠雄氏設計「こども本の森 中之島」
2021.02.03更新 / 探訪!愛すべき建築たち
大阪、中之島にある「こども本の森 中之島」です。
予約が必要なことを知らなくて中に入れなかったので、建物を近くから遠くから眺めて楽しんできました。
中之島公会堂の方から歩いて近づいてゆくと、
一目でそれとわかるきれいなコンクリート打ち放しの壁が見えてきます。
壁に沿って歩く。
窓が少ない。
正面の大きな階段までくると入口の前に屋根が掛ったたまりがありました。
たまりに面して入口がありますが、そこは素直に入口には向かわせてくれません。
階段を上っていくと正面に大きな青リンゴのオブジェが見えます。
その向こうには川を挟んでビルの頭が空を印象的に型取る中之島の景色が広がります。
その光景に誘われて、建物の入口をちらりと見つゝ、川に面するテラスへと歩を進めてしまいます。
テラスから建物を見ると、大きな開口があり、端正な階段があり、その先は建物の2階へと続いています
早く中へ入りたい気分が盛り上がってきます。
これがアプローチ。
建物入り口までに広がるドラマですね。
入口の反対側に位置する壁にはサミュエル・ウルマンのYouthという詩が刻まれていて、安藤忠雄さんの言葉も添えられています。
「目指すは甘く熟した赤リンゴではなく、未熟で酸っぱくとも明日への希望に満ちた青リンゴの精神である」と。
安藤さんの気概を表す青リンゴだったわけです。
気力充分。
ブレない建築家。
流石です。
中に入れないので全体を眺めたくて橋から建物をみてみました。
川に沿うように配置されいるのがわかります。
そして、川に面してとられた大きな開口が見えます。
ここでアプローチを思い出します。
極端に窓の少ない壁を見ながら建物に沿って歩き、
たまりのところで開けた川の景色に引き寄せられます。
テラスから見ると川に面する大きな開口から中の様子が見えます。
そしてようやく建物の中へと入っていく。
そこからはまたドラマチックな空間が用意されているはず。
そのドラマを生むための配置であり、アプローチ側に閉じ川に開く構成であり、建物全体が描く円弧というわけなのでしょうね。
帰り道、もういちどアプローチを歩いてみました。
植栽がもっと育てばよりよい雰囲気を醸し出すに違いありません。
そして、この植栽の在り方にも、ぬかりのない点をみつけました。
↑よくみるとテープで固定されている。
人に会う前に身だしなみを整えるように、設計者は建物の見え方にも気を配るんですね。
細かな作りも面白い。
↑壁のてっぺんの平らな部分に水が溜まらないようにするためのもの。愛らしい形。
さて、次に来るときは予約して内部を楽しみましょう。
こども本の森 中之島の詳細についてはコチラでご確認下さい。
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