読みもの
てぬぐい
2026.07.05更新 / 暮らしの道具
てぬぐいが好きだ。
端っこの処理と織り方のいさぎよさ。
物としての在り方が機能と両立している様。
引き算の美学というか、日本の風土と価値観の産物なのだと理解している。
今更だがてぬぐいの端っこは切っぱなしだ。
おかげで乾きが早い。
使っては洗い、出た糸を根本で切ることを繰り返すうちにほつれにくくなる。
使ってるうちにほつれなくなるんだからいいじゃないかというおおらかさがいい。
織りはシンプルなタテヨコの平織。
薄くてコンパクトだ。
もちろん乾きが早い。
日常使いにも旅行にもコンパクトさと乾きの早さが役に立つ。
バックパックにひっかけておけば使いたいときには乾いている。
てぬぐいは吸水性が悪いというが、素材と作り方によるところも大きいように思う。
それゃあタオルに比べると生地の保水量は劣る。
でもわたしが愛用している伊勢木綿のてぬぐいの吸水性は悪くない。
むしろよい。
伊勢木綿は三重県津市の伝統工芸品だ。
柔らかい糸を天然のでんぷん糊で固め、明治時代から受け継がれてきた古い織機でゆっくりと時間をかけて織り上げる。
洗うほどにふんわりとした柔らかさを増す生地だと言われるが、まさにそれを実感している。
手編みのウールの靴下が驚くほどあたたかく、優しく素足を包んでくれるという幸せな靴下経験を持つわたしは、手作業にはノスタルジーだけではない価値があると思っている。
柄にも注目したい。
ほんのり生成り色の生地に藍染のコントラスト。
大きい水玉の不均等な配置の妙。
藍染による縁の微かなにじみは、これまた職人による手作業が作り出す風合いだ。
てぬぐい。
控えめに言って最高です。