読みもの
山深い村で空家を改修する
2022.09.01更新 / 今日のすま研
林田設計事務所の仕事の手伝いで奈良県の山深い山へ。
夫婦で設計事務所をしている林田さんとは、6、7年前に芦屋市立美術博物館の前庭で開催される
「ARTMARKETあしやつくるば」というイベントに出店した時に知り合って以来仲良くしてもらっている。
林田さんは少し先輩だけど気さくに接してくれる。僕は勝手に仲良くしてくれる兄の友達、みたいな感覚でいる。
奥さんのあんちゃんはいつもにっこりしていて、そんなあんちゃんを見て僕はほほえみの震源地みたいだと思う。
まず芦屋から阪神電車と南海電鉄を乗り継ぎ、林田さんたちの事務所がある河内長野へ行く。
そこで合流して車で2時間とちょっとかけて現地へ向かう。
深い谷を流れる川に沿ったトンネルの多い道を、切り立つ山とその稜線が切り取る空の色が美しい景色を眺めながら進んでいく。
村は階段が多く、石を積んだ擁壁があちこちに見られる。
これから改修設計する家の縁側に座ると、少し低いところに建つ家の瓦屋根の向こうに
段々薄い色になって重なる山と明るさが少しかげった空が見える。
山が高いので日暮れが早い。
林田設計事務所のスタッフみたいな顔をして打合せに参加し、事務所の流儀に倣って図面を書くのは
腕を請われて仕事場を渡り歩く傭兵といった感じがしてとても楽しい。
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