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心に残る講習会

2024.09.20更新 /

建築工事の原価管理能力アップを目的とした講習会に参加した。
建築は20近い工種の分業でできあがる。
よく知られている大工はそのうちのひとつだ。
それらを取りまとめクライアントから工事を受注し、施工するのが施工会社や工務店と呼ばれる会社である。

工務店が工事で必要な工種を下請けに発注する。
建築工事の原価とは、その際に支払う価格のことである。
八百屋で例えると野菜の仕入れ値にあたる。

八百屋が仕入れ値に利益を計上して売値を付けるように、工務店も原価に利益を計上してクライアントに見積り価格を提示する。
正しく原価管理をして適切な利益を得られるようにしましょうという趣旨の講習会である。

内容は工務店向けなのだが、設計事務所も得るところは大きい。
設計事務所は設計開始時に概算を出し、設計を進めながら工事費を積算する。
クライアントに代わって工務店から出てくる見積もりが適切かどうかを判断し、不適切だと思うところを指摘し、適切な価格に修正する役割もある。
工務店の原価や見積りの根拠を知ることはとても重要なことなのだ。

講習会は梅田のスカイビルの近くにある研修センターで行われた。
240922_原価管理
大変参考になった講習の合間に、印象深い住宅に出会った。
東孝光の「塔の家」を連想するような都市型住宅である。

コンパクトな建物だが、中心部に設けた中庭から家全体に光を届けている。
敷地内の小さなスペースには大きく育った木立があり、2階リビングの窓からはその枝ぶりが見えるようになっている。
中庭はアプローチを兼ねていて、自転車はガレージ横の屋内スペースに置けるようになっているのかもしれない。
玄関から階段を上ってLDKに向かう階段室は中庭に面しているため明るい。
2階のリビングは道路と中庭の両方向に大きな開口があり居心地がいい。
3階は寝室だろう。開口の大きさが抑えられている。位置と形が調整されている。
給湯機やエアコンの室外機を設置するサービスバルコニーは3階にある。
設備機器が目立たないようにすることと、雨が当たらない場所に置くという設計である。

こうして建物を眺め設計について想像していると、これは大変おこがましく恐縮であるが、設計者の考えをなぞることができたような気がした。

できることなら中も拝見させて頂きたい。
中庭を通って明るい階段を上り、リビングの窓から大きく育った木々越しに街を眺めてみたい。
そして想像と違う空間に身を置いて設計の巧みさを味わってみたい。

思わぬ建築との出会いがあった心に残る講習会だった。















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