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村野藤吾氏設計、カトリック宝塚教会。
2019.07.04更新 / 今日のすま研
打ち合わせの帰り、村野藤吾氏設計のカトリック宝塚教会へ行きました。
阪急宝塚線に乗っているとニョキッとそびえる塔に気がつきます。敷地が線路のすぐそばなのです。
村野藤吾氏の建築で特徴的な、地面から生えるような形。それに加えて、高くそびえる塔。重心が下がっていく安定感と、上に引き上げられる感覚を感じます。
内部は大きく広がり、波打った天井が生き物のような印象。
村野藤吾氏の当時に手記によると、“大洋を漂いつづけていた白鯨がようやく安住の地をみつけ岸辺に打ち寄せられたとでも申しましょうか”とのこと。この教会をクジラに見立てているということのようです。この内部空間はクジラのお腹の中ということですね。
それにしても、外部からは印象的だった塔の高さが、内部では感じられません。どこが高くなっているのでしょう。
図面をみてみると、祭壇の裏が高くなっているようです。さらに図面をみると、塔の上部に西側に向かってトップライトがあります。西日の時間帯に、塔の上部から祭壇の裏に光が射し、後光がさすような状態になりそうです。
壁面の窓も西からの光を意識した位置になっています。
全ての採光が西を意識しているようです。西側の格子。
夕方、幻想的な光に満たされる内部空間になるのでしょう。
大きな雨樋も、クジラを思わせます。
この大屋根の雨は、大部分ここに集約される様子。設計者としては雨に関わるトラブルが気になり、思わず聞き込みました。しかし、そういう世俗的なことは言わせない迫力があります。
築50年以上を経て、なお美しい建物です。
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