読みもの
掛け軸を掛ける
2014.07.14更新 / 今日のすま研
祖母が亡くなったときに掛け軸をもらいました。
祖母は伊勢に住んでいたので伊勢のおばあちゃんとよんでいました。この掛け軸はおばあちゃんが旧制高等学校の一年生の時に書いたというもので、名前の上には一年ろ組とあります。これを一気に書いたそうです。16歳でしょうか。だとしたら、いやそうでなくとも凄い集中力。
僕が高校生の頃おばあちゃんに進路のことを聞かれ、思ってもみなかったおばあちゃんのひとことに対して無理だと即答したことがありました。その時のおばあちゃんの戸惑いの混じったような残念そうな表情が今でも忘れられません。
生前、小柄で柔らかい物腰のおばあちゃんに、この掛軸から感じるような凛とした強さを感じることができなかった僕ですが、この掛け軸を前にして生活することで、ともすれば流されそうになりながら過ぎてゆく日常の中で自分を省みる時間を持ちたいと思います。
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